記憶
「ふ〜ん。そうだ、さっき飛鳥様から少しもれた思考を読んだんですが、私の言ったことに
少し間違いがあったみたいですね。」
翡翠って、そんな能力もあるんだ、と宇宙と瑠璃が感心していると、
「そうだ。琥珀と桃矢は生まれ変わらせたのだが、翡翠はもともと年齢も家柄も
同じだったのでこの通りだったので、「記憶を消しただけ」だ。」
「随分と手抜きなんですね。」
うっわ〜。翡翠さん、随分なご発言。
「ははは、（あせっ）別に良いだろう？」
「そうだよね。幸い翡翠以外には記憶は残って無かったんしょう？」
「そうだが。」
「ねえ、それって私なんかどうでも良いってことですか？」
「そういうことね。るるるる〜。」
「自分は消されてるからって、もう。」
些細なことで大喧嘩してます。飛鳥はそれを横目で見ながら、
「（本当は言いたく無いんだが）実は、桃矢と翡翠、そして、琥珀以外はその五人じゃないのだ。」
「ええ〜！」
「それって本当ですか？」
「そうだ。私は嘘をつくような人間に見られていたのか？」
「うん。」
「（うなずくな〜、ムカ！）そうか。」
「でも、他の二人は何処にいるんだろうね？」
「その二人をこれから探しに行くのだ。」
「ふーん。じゃあ、出発！」
「おい、二人の名前も知らずに。しかも、どんな神かすら知らないではないか。」
すごいアッキラカンな桃矢の発言。
「二人の名は、千鳥と萬堂。千鳥は雀、萬堂は亀に変身するのだが、そんな一族の噂を聞いた
ことは無いかな？」
「ありますよ。確か、南に雀、北に亀の一族が住んでいるとか。」
珍しく、瑠璃が口を開いた。
「では、お前達も「瞬時移動術」ぐらいは使えるので有ろう。」
「もちろんですよ。」
「しゅっぱーつ」
「風来芽命、瞬時瞬在。風来芽命、瞬時瞬在。」
パアアアアアッ。一瞬にして五人は南の地、鳥怪族の砦に現れた。
そこで一人の少年が、
「あっ、飛鳥様が来たよ。」
「しっ、静かに、千鳥の屋敷に連れて行ってくれ。」
そして、飛鳥は五人に少しばかりの呪文を唱えた。
「わ〜。これは？」
「この一族の式服だ。」
鳥怪族の衣装を着た、瑪瑙は周りになじんでいる。
「こんなを着て歩くのって、変だね。」
「あははは。宇宙、ほっぺが赤くなってるよ。」
この村では、絹の布に金具を付けたような着物を着ているのだ。
「少しは静かに出来ないのか。さあ、着いたぞ。」
目の前には主神の館に負けないほど大きな屋敷が広がっていた。
続く
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