新たな仲間

飛鳥が戸を叩くと、自然と扉が開いた。
「お久しぶりです、飛鳥様。」
桃色の羽織を肩に掛けたその娘は、どうやら前にも
一度飛鳥に会ったことが有るみたいだ。
「ああ。二十年ほどかな。」
「ええっ！」
心の奥底で、「やっぱり飛鳥様って幾つなんだろう？」と思う宇宙と瑠璃。
「良くいらっしゃいました。して、そちらの方々は？」
「私の友人で、お前の旧友。青龍の生まれ変わりの翡翠殿と
　その兄弟、友人。そして、私の魔力を補充してくれた孔明だ。」
「あのう、お言葉ですけど「孔明」って僕の事ですか？」
「当たり前だろう。ほかに誰かいるか？」
「いいえ。誰もいませんよ。」
「では、飛鳥様。今の彼の名は？」
「桃矢だ。」
「そうですか。皆様、翡翠様と桃矢殿を除いて、ですが
　ゆっくりとお休みください。」
「うん。じゃあ、おやすみなさい。」
「またね。」
そう言うと、瑪瑙達は召使（式神）に連れられて奥へ下がっていった。
「では、お二人はこちらへ。」
千鳥と共に飛鳥と翡翠、桃矢が広間の中に入る。　
　その広間は、たいして広くは無いが魔方陣、方角魔法誌等が置いてあった。
「わあ、式神！これ、欲しいんですけど、中々手に入らなくて。」
「ふふふ。よろしければ幾つか、差し上げますよ。」
「ええ！本当ですか？」
「ええ。本当にお幾つでも。」
「ありがとうございます。」
「いえいえ。翡翠様ほど魔力を持っていらっしゃる方は上手に式神をお使いなさるのでしょうね。」
「悪いが、そんな事を話しに来たのではないのだが。」
「あっ、すいません。飛鳥様。」
「そういえば、白虎の紫様は何処に？」
「ねえ、飛鳥様「紫」ってだれ？」
「もう、どうして判らないんでだ？琥珀のことに決まってるだろう。」
「あっ、そうか。」
「そうか、じゃない。まったく、桃矢は本当に鈍いな。」
この二人の事など微塵も気にしていない千鳥と翡翠は、順調に話を進めて行く。
「そうですか。紫様は翼様に連れ去られてしまったのですか。」
「はい。」
「では、明日の朝、一番にこの村を出ましょう。」
「判りました。それでは、私と桃矢は休ませていただきます。」
「どうぞ、ごゆっくりなさいませ。」
「飛鳥様？」
「私は、散歩がてらに情報を集めてくるよ。」
「おやすみなさい。」
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