魔力と時

「それは、どういう事ですか？飛鳥様。」
「ああ、お前達は知らないだろう。実は私の弟は三千年近く封印
　されていたのだ。私が封印していたのだが。」
　その時、隅で瑠璃と宇宙が
「じゃあ、飛鳥様って幾つくらいなのかな。」
「絶対、三千歳は越してるよねぇ～。」
「ははは～。恐～い。」
と呟いていた。
「どうしてその弟が、琥珀を連れ去ったんですか。」
琥珀を一番心配している瑪瑙が聞いた。
「あいつは、「魔力」と「時」を操る神だ。」
好奇心旺盛の翡翠が、
「その、弟さんはなんてお名前なんですか。」
「翼　だ。」
「翼ですか。う～ん。」
「何悩んでるの？」
宇宙が問いかける。
「夢ででしたっけ。会ったことがある気がします。」
「では、お前にだけ記憶が残っているのか。」
「それはどういう事なんですか？」
瑠璃も少し気になって聞く。
「お前達は、昔の力ある神達の生まれ変わりなのだ。同じ魔力の波動がする。」
「それで、私の事を生き写しだって言ったんですね。」
「そうだ。」
瑪瑙が口を開いた。（まったく、開かなきゃ良い時に限って）
「で、私達に何の関係が有るのよ。」
「だから、その五人の中で一番魔力が強かった琥珀を連れて行った。
　だが、今一番魔力が強いのは翡翠、お前のようだ。」
「それじゃあ、琥珀は間違えて連れ去られたわけ？」
「それは違う。翼は自分の弟である「琥珀」を連れ去ったのだ。」
「え、え、わけがわかんない。」
半分混乱している宇宙と瑠璃。
「つまり、前世では琥珀は飛鳥様の弟だった訳ですよ。」
「ふ～ん。それで、現世で翡翠達の妹として生まれてきた訳ね。」
「そういうことだ。」
「でも、どうして封印が解かれちゃったんだろうね。」
「琥珀が生まれて、魔力の流れが変わったから。そうでしょう？飛鳥様。」
「良く判ったな。」
「なんとなく感じてたんです。琥珀の周りは何か違う空気が流れてるって。
　ねえ、瑪瑙姉さん。」
「ええ、そうよ。」
「そうだろうな。お前達には風を受ける力があるから。宇宙、瑠璃、お前達は
　何か感じなかったのか？」
「そんなこと無いけど。」
「そうだね。ちょっと変わってるって思った位かなあ。」
「でも、琥珀ちゃん風の神だし、あんまり違和感なかったんだよねぇ。」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

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