主神の館

　琥珀が倒れると、瑪瑙が
「こ、琥珀！」
「とりあえず、回復の魔法をかけましょうか。」
「じゃあ、僕が布団に寝かせるね。」
桃矢が琥珀を布団に寝かせると、翡翠が回復の魔法をかけ始めた。
「水風風神、回復の風よ、この者に健全たる体力を与えん。」
呪文を唱え終わった翡翠が、
「これでしばらくは大丈夫でしょう。だけど、琥珀は特別な
　魔力の持ち主ですから、すぐに「ニギハヤミ　主神」様の所に
　連れて行ったほうがいいでしょう。」
すると、瑪瑙が
「主神様って、あのニギハヤミ族の長老の！」
「そうですよ。だって、桃矢はそのお孫さんですから。」
「えぇ～、うっそ～。」
「あれぇ～。今まで知らなかったの。僕って影が薄いな。」
「まあ、そう落ち込まないで。私くらいだよ、知らなかったの。」
「そうか。よかった。」
そこで、三人は自分の役目を果たしに、かけて行った
　その役目とは、翡翠が琥珀を主神のもとに連れて行き、桃矢が
それについて行き、瑪瑙が他の二人に知らせる役目。
もちろん、空を飛んでいく翡翠のほうが早く着くのだが、主神の孫
である、桃矢が先に伝達にでかけて行った。
　半日かかってやっと主神の館に着いた桃矢は、ここに来た理由を
すべて主神に伝えた。
「という訳だから、これから琥珀がここに来るんだ。」
「良く判った。すぐに「新龍」をここに連れて来い。」
「えっ、父さんをここに？」
「ああそうだ。早くせい。」
「は～い。」
そう言うと、桃矢は館を飛び出し自分の家へと駆け出した。
　そのすぐ後に、翡翠が琥珀を連れて館に飛び込んできた。
「あんたが、翡翠主か。病人はその娘かね？」
「そうです。」
「では、すぐに神所に連れて行ってくれ。」
「はい。」
そう答えると、翡翠は主神に続き、奥の部屋へと入っていった。
「さあ、ここに寝かせなさい。」
翡翠は、琥珀を寝台の上に寝かせた。
「では、まずどうしてこの様な事になったか説明するからな。
良く聞いておれよ。」
　　　　　　　　　　　　　　　続く
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