不思議な少女
そんな幸せな日々がしばらく続いていたが、ある日翡翠たちのせかいに異常な程の嵐がや
って来たのだった。そんな日に限って早く起きてしまった琥珀が先に起きていた瑪瑙に言った。
「お姉ちゃん。翡翠お姉ちゃんはどうしたの？」
そう、いつもは、琥珀より先に起きている翡翠が、まだ寝ているのだ。
「この嵐がね、あの子が言うにはすごい魔力が関係しているから身体が動かないんだって。」
「ふ〜ん。お姉ちゃん､大丈夫かな。」
と一言呟いた。外はすごい嵐だ。
その頃、翡翠は服を着替えて部屋から出た行った。途中、キッチンにいた瑪瑙と琥珀に、
こんな魔法をかけたが。
「我が主なる水の精霊よ。この者達に安全たる眠りを誘いたまえ。」
と、言った後、静かに家を出て行った。魔法をかけた二人が起きないように。
だが、他の神に魔法をかけるなど、よほどの魔力が無いと気絶してしまう。
そう、翡翠は他の二人より数倍、魔力が強いのである。だが、この嵐は、そんな翡翠でさえ龍になって飛ばないと身動きがとれないほど、すごい魔力いや、邪気に取り巻かれている。一時
間程かかって、ようやく渦の中心にたどり着いた。そこには翡翠の思った通り、一人の少女が
立っていた。 髪の色は綺麗な黒。瞳は澄んだ青であった。その少女が翡翠にむかって、
「やっぱり。貴女ならここまで来ると思ったわ。」
それに対して翡翠は、
「久しぶりに会ったっていうのに、ひどいですね。そんなに甘く見られていたとは。」
すると、少女は、
「おやおや。そんなつもりで言ったんじゃ無いんですけどね。」
「そうですか。そういう処は全然変わってないんですね。宇宙さん」
う、恐い。恐すぎる。お二人とも嫌味がたっぷりです。
「そういえば。翡翠さん何の為にこんな所へ？」
「当たり前だけど、この嵐を止めさせに来たんですよ。」
と言うと、翡翠は手を構えた。
「早く止めないと、力ずくですよ。」
「うふふふ。恐いですね。」
この一言に翡翠がキレた。
「言いましたね。」
そして、攻撃魔法の呪文を唱え始める。
「悪霊退散。雷風水神。金木水火土。ハッ。」
すると、宇宙に向かって光り輝く、光の玉が飛び出した。
「キャァァァァァァァ。」
玉が宇宙に命中した。
続く
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